INTERVIEW

#06

里山ではじめた自分たちのブランドづくり。

福島県 田村市 在住 稲福 由梨(いなふく ゆり)さん
1985年東京生まれの東京育ち。
専門学校を出て管理栄養士として学校給食の仕事しているときに農業に興味を持ち体験ツアーに参加。 そこで出会った夫の和之さんと結婚。 震災後に滝根町に本格移住し、無農薬の農業に取り組んでいる。

農業体験で人生のパートナーと出会う

「江戸っ子の私が農業をするようになったのは、同じ野菜でも産地によって全く味が違うことに興味を持ち、農業体験ツアーに参加したのがきっかけです。訪問先の1つが田村市滝根町の主人の農家でした。主人も東京からの移住組で、何度か手伝いに通ううち結婚することに。
ところが結婚式の前日、東日本大震災が起きました。放射線が心配で実家に留まり週末婚を1年ほど続けたあと、数値的なこともクリアし腹を決めて滝根町に移りました。移住後はトントン拍子です。近くの給食施設の厨房機器が格安で手に入り、国の復興支援事業の助成金を受けて加工工場を建てることができました」。

お気に入りの薪ストーブの前で。自宅の内装はご主人が手がけた

オリジナルブランドの商品づくりにも挑戦

「主人と二人でエゴマやブルーベリーなどを栽培し、田んぼでは健康食品 としても人気の『黒米』を育てています。収穫した作物の一部は自宅横に建てた加工所で、ジャム、黒米甘酒などに加工し『福福堂』のブランドで販売を始めました。気軽に利用できる加工所ということで周辺の農家さんにも口コミで広がり、受託加工や商品開発の相談も受けるようになりました。
管理栄養士と調理師の資格、東京での給食施設での大量調理の経験が、自分の仕事はもちろん地域の農家さんのお役に立っているのは本当にうれしいし、やりがいを感じています」。
稲福さんが育てた農産物を使ったオリジナル商品

農家民宿で農業の魅力を発信していきたい

「里山の風景が広がる滝根町の美しさは格別で、毎朝家の周りを散歩する時間が大好きですし、山々を眺めながら農作業をするのも楽しいです。採れたての野菜を食卓に並べられるのも農業をやっている大きな楽しみの一つですね。
いまはまだ昼間は管理栄養士として働いていますが、いずれ専業農家になり、農家民宿をやるのが夢です。畑の一角に自家製スイーツを食べていただけるカフェを作りたい。かつて自分が感動したように、特に都会の人に農業の楽しさを感じてもらう体験を提供していけたらと思っています」。
季節ごとに表情を変える里山の風景。雲海も望める。
━━取材を終えて
西から会津地方・中通り・浜通りと3つの地域に大別される福島県。中通りと浜通りを分ける『阿武隈高地』の中央に田村市はあります。なだらかな山並みの合間を川が流れ、田畑が形成され、民家が点在する。そんな里山の風景に魅了され、以前から多くの方が移り住んでいる地域でもあります。最近では子育て世帯への支援が充実していますので、自然の中でのびのびと子育てがしたい方におすすめの地域です。

(掲載:2018年4月)

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