INTERVIEW

#07

子どもたちの生きる力を育てる場をつくりたい。

福島県 郡山市 在住 和田 祐樹(わだ ゆうき)さん
1985年生まれ。
福島大学在学中から教育に関心を持ち、自然の中で生きる術を子どもたちに教えたいと、自然学校の運営を目指す。震災後、静岡のホールアース自然学校の職員として働きながら福島県内で復興支援活動を始め、郡山市に移住。
2013年春にホールアース自然学校福島校を設立し、地域との関わりを深めている。

文化の違いの中に豊かさがある

和田さんが代表を務めるホールアース自然学校福島校の拠点は、郡山市西部の湖南町にある築120年の古民家。高い天井の造りには、江戸時代から続く武家の風格が残っています。
「湖南町に移住できたのは、何かと面倒を見てくれた元公民館長との出会いが大きかった。古民家で暮らすには、親切な大家さんの存在も重要です。除雪しやすい川沿いにあることも、この家を借りる決め手になりました」と話す和田さん。
和田さんが提供する自然学校のプログラムは、子どもの生きる力を伸ばすように考えられたもの。「長期キャンプの中では、子どもたちと世話をしたニワトリを食べる体験をします。ニワトリを飼うためにも、広い庭を持つ家に住みたかったんです」。雪の中、和田さんは職員とニワトリ小屋作りに精を出します。

ニワトリ小屋のある庭で雪かきをする和田さん

和田さんは、同じ福島県内でも実家の矢吹町とは違う湖南町の人々の暮らしに、移住した実感がわいたと言います。
「湖南町では地元の農作物や果樹から、漬物や、味噌、果実酒やジャムを自分たちで作ることが当たり前なんです」。
和田さんにとって、はじめはわからなかったルールもありました。「何かを行うときには、行政で許可さえもらえばいいというわけじゃない。区長に話をするなど、地域のなかの順序があることを学びました。そこを省くと物事がうまく運ばない。でも、きちんと相談すれば、とても親身になって面倒を見てくれるんですよね」。湖南町に住む人々の気質の中に、会津文化を感じることもあるそうです。
森林でキャンプを体験

困難も楽しむ!

和田さんは「移住者にとって必要なのは、地元の人と移住者の間に立って話を聞いてくれる存在」と考えています。「私の場合、都会から湖南に嫁いできた人の助言はとても助かりました。地元では当たり前のことも、移住者は戸惑うことがある。良いことばかりや悪いことばかりではなく、バランスのとれた視点で教えてくれました」。和田さんは移住の経験者として、これから町に新しく来る人に情報を伝えていきたいと言います。
「困難にぶつかっても、問題を解決すること自体を楽しめる人が移住に向いている。都会にあるものと比較しても始まらないので、デメリットもメリットと考えてほしい」と和田さん。「その地域が移住しやすいかは、『何でもやってみな』と受け入れてくれるかどうか。その点で湖南町を選びました」。
一方で和田さんは、地域に早く溶け込むためには、移住する際の仕事の肩書も大事だとアドバイスします。「何をするために移住してきたのか、地元に対して何をしてくれる人なのか伝わるものがいいですね。行政などの公的な肩書きを持つと強いですが、英語やカタカナのわかりにくいものは苦労すると思います」。
自然学校には、福島大学とのプログラムに参加した学生が新たに職員として加わり、開校時から念願だった地域事業を手掛ける体制が整ってきました。「これからも職員を増やして、地域に新しい風を入れていきたいですね」。
自然学校のプログラムを楽しむ子どもたち
━━取材を終えて
和田さんの住む郡山市湖南町は市街地から約30km隔てた猪苗代湖沿いにあります。会津と江戸を結ぶ街道の要所に位置していたため、会津文化の影響がみられる地域です。自然に恵まれ、夏は湖水浴やキャンプを楽しむ人々が訪れます。「湖南町で開校したのは、この場所を学びの場所にしたかったから。今後は、町の廃校を利用して教育の拠点をつくりたいと思っています」と和田さんは話します。

(掲載:2018年4月)

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