「なんで都心に生まれたの?というくらい、今の暮らしが合ってるんです!」
そう笑顔で話すのは、埼玉県の大宮で生まれ育った塩田由紀子さん。矢吹町役場に勤務して6年目。現在は夫の実家に暮らし、子育てをしながら仕事を続けています。
「どうして大宮という大都会から、こんな田舎の矢吹に移住したの?」とみんなに聞かれるそうですが、「こんなにいい町ほかにないですよ!」と返すそう。屈託のない笑顔と板についた福島弁から、矢吹への愛情があふれています。
塩田さんが初めて矢吹町を訪れたのは、今から7年前の大学4年生の時でした。塩田さんの通っていた農業大学の研究室の先生と、矢吹町長が同級生だったことが縁で、震災後の矢吹町を元気にする農業イベントに参加したことがきっかけでした。
もともと田舎暮らしへの憧れがあり、それまでもフィールドワークで、田んぼが見られる全国各地の田舎町を訪れていた塩田さんですが、住みたいと思った場所は矢吹町だけだったそうです。
「見つけた!という感じでした。矢吹いいよねって、一緒に参加した友人とずっと話していて、そのことを町の人にも伝えたんです。この町だったら自分がやりたいことができそうな気がして」。
この時、塩田さんが矢吹町に滞在したのは、1泊2日。そのたった2日間で、矢吹町のどこまでも広がる田園風景や、震災以降大変な思いをしたであろうにもかかわらずそういう姿を微塵も見せない農家の方々の格好よさなどに惹かれ、大学院への推薦を蹴って、締め切り直前だった矢吹町役場職員の採用試験に応募。見事合格し、矢吹町へ移住することになりました。