「細胞レベルで会津が好き」。
そう語る冨田恭平さんは、2021年4月、念願叶って地元へUターンしました。山形市で大学時代を過ごし、その後、鎌倉市にあるweb制作会社「面白法人カヤック」で3年間働いたのちのUターンで、およそ7年ぶりの会津暮らし。現在は、会津若松市内にある仏壇や仏具の製造メーカー「アルテマイスター」のプロモーション企画室の一員として製品のPR業務に従事しています。
中学の卒業式当日に東日本大震災を体験したことをきっかけに、福島や会津に対する思いを強めたという冨田さん。いずれは地元の役に立つ仕事がしたいと、大学ではコミュニティデザインを専攻し、将来を見据えて進む道を決めてきました。関東のweb制作会社へ就職を決めたのもその思いがあったから。クリエイティブの第一線を知ることで、地元に帰ってからも通用するようなスキルを身に付けたいと、なかば“修行”のような気持ちで働いていたそう。「ものづくりやアートが好きだったので、そういった面から地元に貢献するのが夢だったんです」と語ります。
転機が訪れたのは2020年。当時暮らしていた鎌倉で、福島にゆかりがある方々と出会い、会津にまつわる料理や商品を届けるイベントを主催したことから、帰郷したい思いが一気に高まりました。おりしもコロナ禍に突入し、当たり前の日常もままならなくなっていた頃。震災から10年の節目を前に、本格的にUターンへの道筋を探り始めます。