INTERVIEW

#10

これまで培った企画力を新しい仕事づくりにいかして。

福島県郡山市 在住 田中 豪(たなか たけし)さん
1984年生まれ、京都府出身。京都の大学を卒業後、都内の企業に勤務。
若いママと子ども向けの雑誌編集・プロモーション企画・制作を手がけてきた。
東日本大震災直後、全国のママ達のネットワークで物資を被災地に届ける活動から一般社団法人Stand for mothersを立ち上げ、2016年11月、日本財団の助成を受け、郡山市日和田町に『暮らしづくりビレッジ』をオープンした。

働きたいけど働けないの声を聞いて

田中豪さんが運営する『暮らしづくりビレッジ』には、子育て中の母親向けの就労支援を行う民間型ハローワークにカフェスペースが併設され、ママ達が子ども連れで参加できる講座が連日のように開催される多目的スペースも備えています。
「ハローワーク的な機能だけでなく、地域の多くの人に場所を知ってもらうために飲食店を併設することを初めから考えていました」と田中さん。
店内では、天然酵母を使ったベーグルや地元有名コーヒー店と共同開発したコーヒーなどを提供し、BGMにも気を配ります。田中さんは、大学を4年間休学してDJとクラブマネージャーを経験。「どうアイデアを組み合わせたら面白くなるか、考えるところはDJと似ているかもしれませんね」と話します。
都内でママ向けの情報誌制作に関わり、若いママたちのサークルと交流があった田中さんは、東日本大震災後、被災地のママの声を集め直接物資を届けるサポートコミュニティ作りを担当、翌年には法人化し、事業運営してきました。
2015年には福島県内で『働く人づくり応援事業』をサポート、事業の一環として、ママ向けのワークショップを開催します。子育て中のママたちの「働きたいけど働けない」という多くの声を聞き、福島で新しい仕事を作って雇用を進めたいと考えるようになったと言います。郡山市出身の協業パートナーからの「復興イコール自立することだから」という言葉も田中さんを後押しすることに。「出張のたびに福島で食べた白米がおいしくて、それも移住の決め手でした」と田中さんは微笑みます。
暮らしづくりビレッジの店内

自分で自分の暮らしを良くする余地がある

田中さんは2016年春、郡山市で本格的な起業準備を始めました。「こちらに知り合いがほぼいないままに移住してきて、物件探しから、リフォームの施工業者探しまで手探りの状態でした。少しずつ知り合いの方が増えて相談できるようになりましたが、『よろず支援拠点』(※)などの公的な窓口を知っておけばよかったですね」と振り返ります。
田中さんが拠点にしている郡山市日和田町は、ショッピングセンターが集中する場所。田中さんは、主に自転車で移動。遠出には電車やバスを利用します。「車があればもっと便利で、ここでの暮らしを満喫できると思います」。
移住してからは、自然に仕事と生活のメリハリができたとのこと。「深夜まで周囲が明るかった東京と違い、夜になれば店が閉まって辺りが暗くなる。それが自然なんですよね。


※国が全国に設置する中小企業・小規模事業者の売上拡大、経営改善など、経営上のあらゆる悩みに対応している相談所。
ベーグルを囲んだスタッフとの和やかなミーティングの様子

使える時間がある分、自分自身で暮らしを良くしていけると思いました」。身近な人たちが農作物を作っている環境にも魅力を感じている田中さん。「野菜に親しみを感じるから、おいしく食べたいと思うようになりました。近いうちに自分も野菜作りに挑戦したいです」。
田中さんは、できたら平屋の一軒家に引っ越したいと言います。「『となりのトトロ』のメイとサツキが住むような、自分たちが自然の一部だと実感できる家が理想ですね。こちらで生活している良さを味わえる生活がしたいです」と新しい暮らしに思いを馳せます。
マルシェを訪ねる田中さん
━━取材を終えて
「ママたちを応援する今の事業を他地域でも展開できるビジネスモデルにしたい」と話す田中さん。郡山市は、行政や民間の起業家支援が盛んで、コワーキングスペースなどビジネスパーソンの交流の場が多い街。田中さんの住む郡山市日和田町はショッピングモールがある便利な場所でありながら、蔵がある家々が並ぶ光景に奥羽街道の面影が感じられます。

(掲載:2018年4月)

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