桃の一大産地で知られる福島県北部。その中でも25年連続で「献上桃」の産地に選定されている桑折町(こおりまち)で、2018年4月より桃農家として一歩を踏み出したばかりの小山尚文さん。
都心で行政書士として働いていた小山さんが、桃の栽培に興味を惹かれたのは、(桑折町に隣接する)伊達市で果樹農家を営む親戚を手伝ったことがきっかけでした。週末だけのつもりで足を運ぶうちに、農業の奥深さに魅せられたと言います。
「それまで農業というと、年配の方がのんびりやっているイメージでした。でも、実際は土壌の知識、価格、販売方法など、生産するだけではなく、さまざまな知識が必要になることを知りました。何より農家の方が天候や自然に立ち向かう姿がかっこよかったんです。天候に恵まれて良いものができるのは当たり前、でもそうでない時にも良いものが作れるのがプロ。それを自分でもやってみたいと思ったんです」
ついには、「福島県農業総合センター果樹研究所」に通い、本格的に学び始めることを決意。「桃栗三年柿八年」のことわざどおり果樹は植えてから収穫できるようになるまでに時間がかかることから、並行して農園の土地探しも始めました。
見つけたのは桑折町の街並みが見渡せる小高い山の中腹の空き地。1本1本心を込めて植えた約130本の苗木は“小山果樹園”の第1弾の桃となるべく、数年後の収穫の時を待っています。