INTERVIEW

#03

理想の土地で教育を通し、志を育てたい。

福島県 南会津郡 只見町 在住 渡辺 啓太(わたなべ けいた)さん
千葉県習志野市出身。
予備校講師の仕事に従事した後、日本国内を回る。 2016年に地域おこし協力隊員となり、只見町の公営塾の塾長として地域の高校生を対象に学習支援を行っている。

理想の場所に出会って

2016年に千葉県習志野市から只見町へ移住し、地域おこし協力隊として活動している渡辺啓太さん。移住のきっかけは1年間の国内旅行でした。「色々な場所を見て歩く中で、自然の美しさに惹かれるようになりました。1カ月間、働きながら住んでいた沖縄県の宮古島はとても印象に残っています。そんな日々の中で思い描いていたのは、次に住む理想の場所でした」。自然がたくさんある美しい場所で予備校講師の経験を生かした仕事がしたい。そう思いながら理想の場所を探していた時
に偶然見つけたのが、只見町の地域おこし協力隊だったのです。
渡辺さんは只見町に移住すると両親に報告。父親は「あそこは良い場所だよ」と賛成したものの、母親からは「豪雪地帯だと聞いたけど、そんな場所に行って大丈夫?」と心配されたのだそうです。
母親が心配したとおり、渡辺さん自身も実際に住んでみて、それまで見たことがない雪の量に驚いたと言います。「でも、他では見られないような雪の美しさも見る事ができた。只見町に来て良かったと思いました」 。

予備校時代の経験がいかせる只見町の公営塾

次は自分が恩返しする番

只見町に住んでから、渡辺さんが見つけたお気に入りの場所は『三石神社(みついしじんじゃ)』。縁結びで有名な神社です。 「神社一帯が森のような雰囲気があり、不思議と気持ちが落ち着く所。只見を訪れる人におススメしているんですよ」。 冬にはこの神社のご神体とされる岩の上部にお賽銭をあげることができるのも、雪がたくさん積もる只見ならではの光景なのです。
地元の人は渡辺さんに普段から気さくに声をかけます。「町の行事にも参加するよう誘ってくれて、いつの間にか地域に馴染めていたんだと思います」と地元の人の温かさを思い出します。
渡辺さんの地域おこし協力隊での仕事は、只見町教育委員会の公営塾の塾長。只見高校の生徒を対象に指導しています。 「『心志塾(しんしじゅく)』という塾の名前に、教科学習だけではなく、志を育てるという意味合いも込めて付けられています。はじめは生徒たちにとって塾という場所自体に馴染みがなかったので、まず塾とはどういう場所かということから教えました」 。
巨大な岩で有名な三石神社

渡辺さんの指導方法は、まずは自習して、分からないことがあったら講師達に聞くというもの。まずは学習の基礎を固めるために復習の習慣をつけてもらいます。「塾で指導していて嬉しかったことは、数学の苦手な生徒の成績が目に見えて上がったこと。塾に通い始める前の定期テストの点数がいつも 30点〜40点だったのですが、毎日塾でマンツーマンの学習を続けているうちに期末考査で90点近い点数が取れたんですよ」。
只見町の暮らしで渡辺さんが大変だと思うことは雪以外にも。「コンビニが9時で終わってしまうので、仕事が遅くなると買い物ができません。必要なものがあるときは時間を考えていかなくちゃならないんですよね」。
車を持っていなかった渡辺さんにとって、初めて迎えた冬の通勤は厳しいものでした。「塾までは雪道を徒歩で40分程かかる道のり。そんな時に教育委員会の方が気にかけてくれて、塾が終わるまで待ってくれて自宅まで送ってもらったことがありました。その親切が本当にありがたかったです」。
今日も熱弁をふるう
━━取材を終えて
南会津郡只見町は福島県の西部、新潟県に接しています。森林や水源に恵まれ、都会から離れたゆったりした時間が流れています。総水量が5億トンで、日本一の水力発電量を誇る田子倉ダムは町のシンボルのひとつ。日本有数の豪雪地帯であり、毎年2月には、大型の雪像が建つ『只見ふるさとの雪まつり』が行われ、観光客でにぎわいます。

(掲載:2018年4月)

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