INTERVIEW

#27

どこで暮らすかではなく、誰と暮らすか。

福島県 郡山市 在住 松尾 一平(まつお いっぺい)さん
1984年生まれ。青森県東北町出身。 東京の美容専門学校を卒業後、都内の美容室にて勤務。郡山市で美容師をしていた奥様と結婚するため同市に移住した。現在は空き家を改装した美容室「valo」を開業し、たくさんのお客様をお迎えしている。24歳の頃、1年間イギリスに留学した経験を持つ。

不安も迷いもなかった、郡山への移住

松尾さんは、郡山に住んでいた奥様との結婚がきっかけで、東京から郡山に移り住むことになりました。約10年間暮らしていた東京を離れることに未練はなく、不安も迷いもなかったと言います。
「僕にとっては、どこで暮らすかではなく、誰と暮らすかが重要でした。考えなければならなかったのは唯一、どうやって仕事をして食べていくのかということだけでした。どんなに東京や青森から遠い場所だったとしても、妻のもとへ移り住むことに迷いはなかったです」。
郡山への転居を決めてから、準備期間は約半年。その間は、勤務していた美容室の仕事の引き継ぎや、ご指名をいただいていたお客様への退社の挨拶などが中心でした。「移住というより、単なる引っ越しという感覚でした。今回インタビューを受けることになって、『そうか、自分は移住したんだ!』って初めて気が付いたくらい」と松尾さん。
移住と同時に郡山の美容室で働きはじめ、スムーズに新生活はスタート。東京での勤務経験は技術面だけではなく、お客様とのコミュニケーションにおいても武器となりました。「お客様からこの町のことを教えていただいたり、郡山を知らないからこそ生まれるコミュニケーションがありました」。

家族とともに、自店舗をオープン

2017年12月、当時出産間近だった奥様と二人三脚で、郡山市内に美容室『valo』をオープン。自分たちで店舗用の土地を探し、内装には松尾さんと奥様で選定した建具など取り入れながら、理想の美容室を創り上げました。
家庭を築き、自らのお店を持ち、大切なものが一つずつ増えていく中で、松尾さんにとって郡山が「自分の町」となっていきました。「今は妻とお互いの仕事の状況に合わせて、朝食の準備や子どもの保育園の送迎を分担しています」。そんな風に夫婦で協力し合うライフスタイルを築いているそうです。

『valo』の敷地内には緑豊かな庭があり、お客様が座るカット台からは自然の光と木々が楽しめます。松尾さんご自身も庭に咲く季節の花を観賞したり、梅の時期には梅酒を漬けたりと、自然との触れ合いを楽しみにしているそうです。
「福島県は自然が多く、海も山も湖もある。程よい田舎さと、首都圏へすぐ行ける利便性も気に入っています。東北地方の出身ということもあり、本質的に郡山での生活が落ち着くと感じています」。

知らない町に触れていく楽しさ

『valo』には、松尾さんご夫婦の店づくりの信念が込められています。
「僕たちが大事にしているのは、とにかくお客様を綺麗にすること。そして通ってくださっているお客様が常にオシャレと感じ、誰かに紹介したくなるようなお店であること」。
その上で、松尾さんは、さらにお客様に満足して頂くために、valo LIBRARYと題して貸出図書を用意したり、奥様が制作したドライフラワーのアクセサリーなどを店頭に並べたり、新しい試みにもチャレンジしています 。こうした取組は、地域のお客様たちからも喜ばれ、松尾さんはより一層やりがいを感じています。

最後に、これから移住を考えている方に向けてアドバイスを伺いました。
「郡山でも、それ以外のどんな町でも、その土地ごとにいろんな人がいて、たくさんの暮らしがあります。移住には、その暮らしに触れて、知らなかった町を知っていく楽しさがあるんですよね。住んでみたらいい場所ってすごく多いと思うし、怖がらずに楽しんでもらえればと思っています。僕自身、海外に住みたいと思ってイギリスに住んだら、いい意味でなんてことなかった。どこに住んでも一緒。でもその中で土地ごとの違いがあって、その違いを楽しめたらいいんじゃないかな。移住って、僕はすごく簡単だと思います」。
松尾さんは、そう力強く断言してくれました。
━━取材を終えて
松尾 さんのお話を伺うと、日本中どこに住んでも、その町で自分らしい暮らしを見つけることができるという安心感がありました。大きな決断をイメージさせる「移住」ですが、案外ハードルが低いものなのかもしれません。 美容室の店名「valo」はフィンランド語で「光」という意味。その名の通り、店内はやさしい光が差し込む心地よい空間でした。

(掲載:2019年10月)

TOPへ