いわき市久之浜では、2019年7月に海水浴場が、そして9月には魚市場が再開しました。東日本大震災から実に9年ぶりです。そのことを何よりも喜んだ1人が、この久之浜に移住した青森県出身の「りんごちゃん」こと榊裕美さんでした。榊さんは今、「合同会社はまから」で、久之浜に漁師を増やすための活動に力を注いでいます。
榊さんが初めていわきを訪れたのは、東日本大震災直後の大学2年生の頃。東北各地でボランティアを続ける中で、自然と地域の人たちと仲良くなっていきました。
大学に戻ってから授業の一環で出会ったのが、遠洋漁業の元漁師さん。いきいきと漁業の生業(なりわい)を話す一方、仕事に誇りを持ってはいるが、震災の影響の見通しがつかない中、子どもには継がせたくないという、震災後の漁業を取り巻く社会的な課題を知ることになります。
祖父が漁師だったにも関わらず、当初は漁業に興味がなかったという榊さんですが、漁師をテーマに卒業論文を書くまでに強い関心を持ち始めていました。