佐久田英典さんは大学生の時から、地域おこし協力隊として地方で働くことを希望していました。「東日本大震災があって、人と人とのつながりを大切にしたいと思うようになりました。学校や会社の中だけでなく、地域全体の人と出会える仕事とは何か考えたときに、地域おこし協力隊という制度を知ったんです」。
佐久田さんがそれまで訪ねたことがなかった棚倉町を選んだのは、棚倉町の地域おこし協力隊の仕事内容が『地域を活性化するための活動』と幅があったからだと言います。
2014年4月に棚倉町に赴任した佐久田さんがまず行ったことは、町の人に会うこと。「はじめはとにかく会って、話すことが仕事でした。町で会う人に町の課題や魅力を聞き、まちづくりのヒントを探していました。地域の人たちに自分たちがどんな活動をしているのか見てもらうために始めたのが、町の中心にある公園の清掃活動でした」。 佐久田さんたちは地域の人たちと『なかよし公園クリーン大プロジェクト』を立ち上げ、定期的に川の清掃や草刈りを実施。公園を更生させました。
さらに挑んだのが、棚倉町商店街の七夕飾りでした。「町の人が以前あった七夕飾りを復活させたいと話してくれたんです。昭和40年代の商店街の写真を見せてもらったら七夕飾りを楽しむ人たちでとても賑わっていて。自分たちで七夕飾りができないか考えたんです」 はじめの年は準備不足で、用意した20本の飾りすべては掲げてもらえませんでした。翌年はその反省を生かして小学校や商店会に働きかけ、七夕を迎えた商店街には133本の七夕飾りが設置され、かつての賑わいを彷彿とさせたのです。